2011年5月 Singapore Sundown Marathon

土曜日の昼まで寝ていたかったけれど、なんとか起き上がって洗濯し、午前中は中国語の授業(まだ2回目)であっという間に時間が過ぎる。

午後4時過ぎ発の飛行機でシンガポールへ。午後10時スタートのSundown Marathonに出走するのだ。
しかしどーにも体調がすぐれない。オーストラリア出張から帰って来て風邪をひいたのか、くしゃみが止まらない。それとずっと続いている咳(これは今マレーシアにHaze、インドネシアから汚れた大気が流れ込んでいるせい、と言われている)、そして右膝に違和感がある。それから右眼の出血部分の赤いのが消えない(みんなにギョッとされる)。でもエアチケットは買ってしまったし(往復5000円もしないが)、とりあえず出掛けてみる。KLセントラル駅までタクシー(RM10=270円)で行き、そこからLCCT(格安航空エアアジアのメインターミナル)までバス(RM9=243円)で1時間。いつもタクシーで自宅から直接タクシーでLCCTまで行っていた(RM80=2160円)からバスはメチャ安! 車内でうとうとしている間に到着。今回はエアアジアではなくシンガポール系格安のTiger Airwaysという阪神ファンが泣いて喜びそうなLCC便で行く。

シンガポールの入国イミグレで「なんで2日も滞在するのに入国カードにホテル名が書いてないの?」と聞かれる。「それは、今晩マラソンに参加して明朝帰るからホテルには泊まらんのですよ」と答えると、「What ?」と聞き返される。説明にちょっと時間を要したが最後には「頑張って!」と言ってもらえる。シンガポールのイミグレは世界一感じがいいと思う。
シンガポール到着午後5時半、スタートは午後10時。はっきり言って早く来すぎた。空港からMRTで一駅のExpoで早い夕食。ここからスタート地点のExhibition Centerまで1ドルバスが出ている。「ヒマだしちょっと早めに行ってもいいや」と思ったのが大正解で、このマラソンのせいかバスは大渋滞に巻き込まれ、現場到着したのが午後8時半。隣に座っていたお兄さんは午後8時スタートのハーフに出走予定だったのが「出遅れた」とつぶやいていました。

会場に着いてみてビックリ! というのも夜のフルマラソンなんてそんなに走る人いないだろうと思っていたのに、会場の盛り上がりとものすごい数のランナー、こりゃ何千人か走るんだな、とげんなり。もっと数百人規模の小さな大会をイメージしていた。しかし意外にも運営はスムーズで当日のゼッケンピックアップも問題なし。野外トイレの数も充分(日本と違って寒くないので行く頻度も少ない)、荷物預けも無料でしっかりしていた。早めに出走準備を終えてレース開始30分前にスタート地点に並ぶ。いつもはスタートぎりぎりまで並ばないが、昨年12月のシンガポールマラソンを教訓に、ゆっくりランナーに巻き込まれてはいけないと思い、一番速いカテゴリーに並ぶ。それでも4時間以内。隣に立っていた日本人ランナーの方とおしゃべりして時間をつぶす。ゼッケンにファーストネームが書かれているので日本人だと確信したが、向こうは「見た目からして絶対ローカルだと思いました」とワタシのことを言っていた。もうそう言われるのに慣れてるから気にしません。むしろ現地に溶け込んでいる、という褒め言葉として頂戴しておきます。

スタート前のDJ二人がうるさい、やかましい。シンガポールマラソンと同じ人かもしれない。しゃべってる自分らだけが楽しんでいるかんじ。「今回のレースに参加している外国は10位が〇〇!」とカウントダウンしている。日本は9位、あとで調べたら149人だった。10km、ハーフも込みだと思う。シンガポールの人口が約500万人(うち外国人が200万人とも言われている)、うち日本人は2万5千人くらいで、149人くらい走ったって全然おかしくない。ちなみに3位がイギリス434人、2位がフィリピン850人(これには驚いた)、1位がマレーシアで1871人。でもシンガポーリアン含め全体で何人走ったのかは書いてない。
しかし、スタート時間の午後10時を過ぎても始まらない。ランナーが腕時計を指差してDJをうながすが、DJはしゃべくりまくってお構いなし。「誰かが勝手に走り始めたら、あとはみんなが追うのに」と思う。

午後10時5分過ぎにスタート。会場を飛び出して車道に向かう。対向車線は午後8時スタートでもうすぐゴールのハーフのランナーが走っている or 歩いている。街灯がしっかり点いているので暗くはない。ボランティアがしっかり誘導してくれる。が、とにかく暑い、蒸し暑い! 汗が噴き出す。こんな暑い中レースで走るのは初めてだ、やっぱり早朝スタートの方が涼しい。とりあえず馬なり、体が動くままのペースで走る。今月あたまに日本で70kmを踏んでいるとはいえ、その後はたいして練習していないし、右膝が違和感を抱えたまま、でもまだ痛みはない。約2km間隔でエイドがあるのが嬉しい。置いてあるのは水とスポーツドリンクのみ。あとで気付いたが、Power BarのGelタイプも6kmごとに置いてあったらしい。最後に気付いて口にしてみたが、マ、マズイ...公園のゴミ箱に直行!

コースはいたって単調。会場を出て右にチャンギ空港を見ながら車道をまっすぐひたすら走る。高低差はゼロ、2ヶ所くらいほんのちょっと登ったくらいでほとんどゼロ。海沿いに出たら海浜公園をひたすら西へ。ここは12月のシンガポールマラソンで走ったコースと被る。中間地点で折り返してスタート地点に戻ってくる。

とにかく蒸し暑くて汗が止まらない。不要かな、と思ったけど気持ちが引き締まるので持参したキャップが暑い、やはり夜のマラソンにキャップは不要か。キロ5分くらいで走ったら早くもまわりが空いてきた。しかし練習不足でこんなペースのままゴール出来るわけがない、でも今のところ順調なのでこのまま行ってみる。

10km通過:49分20秒くらい。ちょっと速いな、と思ったらあれよ、あれよという間に疲労感が全身に広がって来た。12km地点で早くもバテてきた。参ったな、と思いながらせめて中間点まではこのペースで行こう、そして4時間は切ろう、と粘る。海沿いのイースト・コースト・パークに出ると少しだけ風が吹いて涼しい。海をはさんで向こう側がびっしりとライトアップされている。停泊中の船か、それともインドネシアのバタム島か? しかしきつい、なんでこんな蒸し暑い大会に出たんだろう、それもこんな体調の悪いときに。もう帰りたい、寝たい、と正直1000回くらい思いながら走った。

20km通過:1時間40分56秒。その後折り返して精神的に復活するかな、と期待したが足がついて来ない。公園には深夜だというのに沢山の人たちが涼んだり、キャンプをしてバーベキューパーティーをしている。うー、お腹空いた、エイドに食べ物が無いのがきつい。フルを食べ物なしで走り切れるのか? 準備不足だった。我慢出来なくて沿道にいたお兄さんに「そのコーラわけてくれません?」とお願いしたら、たっぷり飲ませてくれた。「何か食べ物は」と見ると、なぜかケーキが置いてある。「ケーキ...」と言ったら「Oh ! 好きなだけ食べてよ」とお兄さんは言ってくれたが、「ケーキはヘビーなので遠慮しときます」と言って(笑ってもらえたが)、御礼を言ってまたテコテコと走り出す。この位置でも後ろから何人かに抜かれたり、なぜか前を歩いているランナーを抜いたりした。一番苦しく感じた25km地点あたり、とうとう右膝の違和感が痛みに変わる。本当に歩きそうになりながらエイドでコップ2杯もらってたっぷり体にかける。お腹空いた、と思ったらなんと沿道にバナナを持ったお兄さんがいる。「地獄にバナナ!」と喜んで頂戴する。1本まるまる食べた。ふー、これでお腹が落ち着いた。とにかく自分をだましだまし歩かないように走る。2kmごとのエイドでしっかり水をかけ、屈伸して、後ろ手を組んで背筋を伸ばす、凝り固まった肩甲骨周辺に刺激を入れる。対向には途切れることのないフルマラソンランナーの群れ・群れ・群れ。

30km通過:2時間39分51秒。うーん、キロ6分に落ちた、でももうタイムはどうでもいい。いつのまにか風が涼しく、蒸し暑さも少し解消されてきた。海浜コースに別れをつげてまた空港沿いの単調な道に戻る。コースガイドの若者ボランティアの半分は眠りこけている。そりゃそうだろう、午後6時スタートの10kmからずっとやってるわけだから。道端で膝を抱えてうとうと寝ているお兄さんにいたずらしてやろうと思い、そーっと立ち寄って耳元で「パーン!」と拍手して逃げた。後ろから一斉に笑い声がした(振り向かなかったけど)。
しかし直線が長い、10km近くある。とにかく歩かないよう「フルで歩いたらいかんだろ」とそれだけを自分に言い聞かせて走り続ける。ここで歩いてしまったら今後の人生、いろんなことに妥協してしまいそう(大げさ?)なので、なんとかそれだけは守った。

やっと会場が見えてきた。40km通過が3時間43分くらい。スパート出来る体力はない。
ゴールタイムは、手元の時計で3時間54分03秒。サブ4達成しただけで充分です。

ゴールして荷物を受け取り、シャワーブースに行ってみたらそこは屋外だった。プールに入る前のシャワー、というイメージ。でも気持ちよく浴びた。その後パブリックビューの大画面でバルサマンUのUFEA決勝を前半まで皆さんと一緒に観戦。その後タクシーで空港まで移動、マレーシアに帰国しました。

思ったより大きな大会だったけれど運営はよかった。予想以上に蒸し暑かった。40km以上走ることが出来てよかったが、代償に右膝故障してしまった。治るまでどれくらいかかるだろうか。

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写真はスタート会場にあったベッド、「ここで寝ないで頑張れ!」ってことか?