2013年1月 Standard Chartered Dubai Marathon 当日

ドバイマラソン当日。
午前4時半に起きる。8時間近く横になったせいか、気分はかなり良い。
どうやらレースに間に合ったようだ、「今日は行ける!」と自然に思う。
朝食としてパン、バナナ、ヨーグルトを食べる、有難いことにお腹ももう痛くない。
このせいでお腹が下り続けているような気がしていたので、ずっと飲んでいた抗生物質だけ朝採るのは止めた。

金曜日(休日)早朝なので心配していたが、タクシーはすぐにつかまった、運転手はバングラデシュ人。すごい霧で驚いたが、「今時分、冬場はよく霧が出ますぜ、ダンナ。走る際も足元はどうぞお気を付けておくんなまし」と言われる。

世界最大規模のショッピングモールであるDubai MallのGateで降ろされ、スタート地点まで2kmほど延々と歩かされる。途中でインドから来たランナーと一緒になる。「アーメダバード出身」とのことで、ワタシが「あぁ、グジャラート州の」と返したら、「知ってるのか!」と急にいろいろ話しかけられた。「Burj Khalifa(世界一タワー)にはネット予約で行かないと、当日券は高いよ」などいろいろ教えて頂く。こちらはなんら事前に知識を仕込んでいないので、ひたすらうなづくばかり。

スタート地点はすごい人いきれだったがメインは10kmと3kmランナーらしい。スタートは午前7時、タクシーを降りたのが午前6時前でスタート到着が6時半に近かった。急いで準備、かなり寒く、なんと吐く息が白い。正直ここまで寒いとは予想していなかったが、走るには絶好の気象条件だ。寒いのを我慢して上を脱いでBaggageに預ける。携帯したのはアメとジェルと念のためティッシュ。トイレも非常に混んでいたが、大と小がしっかり分かれていてすぐに入れた。欧米系のオーガナイゼーションなのか、他のS&Cマラソンよりも手際が良い印象を受けた。

アップする暇もなくスタートに並び、少し震えながら号砲を待つ。ウェアは走りやすい「小金井公園走友会」のランシャツ。
最初に世界レベルのエリートランナーがスタート、そのあとに我々一般ランナーが走る。カウントダウンするつもりだったようだが、なし崩し的にスタート、そこから10秒前後でスタートラインを超えた。

すぐにばらけて自分のペースで走れたのは有難かった。こうやって無事に、それも結構快調に走れることに感謝、素直に嬉しかった。といっても長丁場の42km、どこでどんなトラブルがあるかわからないので前半は抑え気味に馬なり、1kmの入りが4:45、2kmが4:48で苦しくなかったので、前半は4分40秒で走ることに決定。何度もガーミンを見ながらペースをコントロールする。

コースは、スタートしてから海に向かって走り、海沿いをずっとストレートに走って戻ってくる完全折り返しコース。走り始めは涼しかったが、5km過ぎくらいから日の出による温度上昇の気配。
周りのランナーはおそらく8割以上が欧米系。いいでしょう! 普段はゆるキャラ・マレーシアランナー達としのぎを削っているワタシですが、今日はシリアス・ハイレベルの欧米系ランナーと競り合いましょう。涼しいうちに距離を稼ぐ作戦なのか、どのランナーも積極的にとばしている。

海沿いに入ってからはまた霧が出て温度上昇が止まる、走るには有難い。景色は...まぁ単調だかそれなりに飽きない。
沿道には結構応援がいるが、それはほとんどが欧米系の観光客が居住者、およびインドorアラブ系、それとフィリピン系。インド系はただただ眺めているだけだが、欧米系は積極的に「You, Guys, Good Job!」「Keep on Going!」と拍手で応援してくれる。
しかしすぐに気付いたが、どうやらそれは同じ欧米系のランナーに対してだけで、こちらとは完全に目線を切って応援している。欧米系ランナーが通りすぎると「やれやれ」と一休みしている、オイオイ。「そうか、ここは欧州なのね」とさみしく思う。ワタシのウェアに日本の国旗が入っていればまた違ったのかもしれない。数少ない東アジア系の方からはしっかり目線を合わせて応援してもらえた。その他「Korean?」とか「加油!(中国語で頑張れの意)」とも言われた、応援さえしてもらえれば力になった。

エイドステーションは5kmに1ヶ所だが、その中間地点でも水を配ってくれた。水もゲータレードも500mlボトルまるまる1本を渡してくれるが、こちらは一口、二口しか飲めない。どのランナーもちょっと口をつけてすぐボトルを道路脇に放るのがなんだか砂漠の国なのに勿体ない。食べ物は一切なし。途中でバナナを握っているランナーを見つけたので、「どこで手に入れたの?」と聞いたら「自宅から持ってきた」とのこと。どうやらずっとポケットに入れていたらしい...

水を飲み過ぎてお腹が下るのが怖ったけど、走り出したら脱水も怖い。気温も徐々に上がって汗をかいているが、頭からボトルの水を浴びるほどの暑さではない。むしろウェアが濡れて体温が下がる方が怖いので慎重に飲む。

コースは見事なまでにフラットかつストレートのアスファルト。少しも傾斜が無い。
10km通過が46:53、20km通過が1:33:57、4:41/kmでぴったり走れている。20kmを過ぎた時点でジェルを食す。初めて食べるけど果たして効くのか、というか効果が目に見えて分かるものなのだろうか(結局よく分からなかった)。

ドバイマラソンを楽しみにしていた理由の一つが、世界レベルのランナーとすれ違うことが出来ること。その瞬間は意外に早くやってきた。こちらが17km地点に差し掛かったあたりで向かい側はちょうど27km地点。先導車がやってくるなぁ、と思ったらそのすぐ後ろにエリートランナー集団がパーッと走って来てすれ違う。え? 振り返ったが風のように走り去ってしまい、エンカウントを楽しむ間もなかった...あらら。

22kmの折り返し地点ではかなり応援の人がいて拍手で迎えてくれる。こちらも拍手で応える。
いまだ調子は悪くない、苦しくないというか、むしろ気持ちよく走れている。いまドバイで走っているんだな、と実感する。

前半は決めたとおりに抑えたので、後半はもう少し頑張ってみようか。4:30/kmを目指してペースを上げる。案の定、後半に落ちてきたランナー達をまとめて拾っていく。すでにレースをリタイアして歩いているアフリカ系エリートランナーをちらほら見掛ける。さすがに肩に力が無い。高いポジションを目指して頑張っていたのでしょう。なんだか気の毒でした。

30km通過が2:19:32、この5kmだけみるとぴったり4:30/kmで走った。途中からエイドでスポンジが配られていたので積極的に取っていたが、ここでは見えなかったので通り過ぎようとしたら端っこにスポンジを手にしたお姉さんが立っている。すでに少し通り過ぎてしまったので戻ろうと慌ててターンしたその瞬間、地面がかなり濡れていたためスリップ、見事にお尻から落ちた。そのとき右手、右くるぶしも痛打。でも走れない痛みではまったくなかったので(走っている最中は案外感じないもの)そのまま走り出す、大丈夫そうだ。でもその後、スリップとは関係なく左ふくらはぎが少しつった状態になる。直前1週間ほとんど走らなかった影響だろうか?走りながら何度もスポンジを当てて患部を濡らす。

海沿いの長い直線コースに別れを告げて右に曲がった途端に向かい風と直射日光を浴びてスピードが落ちる。対面車線はすでに大渋滞、もう早朝ではないんだなと思う。ぐっと気温が高まる中を走っていたら突如正面からミストが吹いてきた、涼しい~。「これ、まさか人工?」と一瞬思ったが、そんなわけはなく、風に吹かれて霧が流れてきたようだ。そして霧の中にぼんやりと太陽が見える。高層ビルの足元は霧でまったく見えず、上層部だけがオアシスの幻影のように霧中に浮かんでいる、幻想的な景色だ...

残り5kmを切ったあたりで私設エイドの方々がチョコやキャンディー、オレンジやバナナを配っている。有難いけどここでもらってもちょっと遅いが、オレンジだけ頂いた。

このあたりからちらほらと日本人の応援の方に出会う。(たぶんワタシの国籍が分からないだろうから)こちらから積極的に「ありがとうございます!」と声をかけて御礼を言うと、「あと少しです。頑張って下さい!」と応援してもらえる。同胞からの応援は何よりも嬉しい。

Burj Khalifaが見えてきた。もうゴールは近いはず。
40km通過が3:04:55、3時間15分切りが微妙か? スパートしたいがもはやスタミナが切れた、直前の1週間の体調不良の影響がここでも出たと思う。

意外にゴールが遠い、ゲートが見えない。
そしてやっとのことでゴール、タイムは3:14:30(Net Time)。

おー、おそらくこれは自分史上セカンドベストのタイムだ。
実は体調を崩す前は内心3時間20分切りを目標としていたので、12月に300km走った成果が出たようだ。それとKLで10kmなど短いレースを速いペースでゼイゼイ言いながら走ったこともレベルアップの良い練習になったのかもしれない。

充実感と気持ち良い風に浸りながらゴール後のマッサージをしてもらう。
待っている間にガブ飲みしたゲータレードのせいでお腹がまた痛くなって焦る...
そこで知り合った日本人のYさんと一緒にDubai Mallでランチを採ってメトロでホテルに戻った。観光よりも快復を優先することにした。

完走後の感想は以下。
走り易い「小金井公園走友会」ランシャツで走ったお蔭で、走行中、肩が凝らなかった。
シューズは履き慣れたミズノのウェーブ・アミュレット、これもフィットして良かった。
大会運営は非常に良かったと思うが、コース誘導が皆無でちょっとした分岐点で前方ランナーがいなかったらコースアウトする危険性があると思う。
あと、エイドでアメかバナナを出してくれたら嬉しい。
それと、ゼッケンが紙で出来ており破れ易かった。ワタシはゴール直前で破れてしまい、手で押さえてのゴールとなった。是非破れにくい材質に変えるべきだと思う。

未来都市ドバイでのマラソンは、ほぼ完調したコンディションで走ることが出来て本当に良かった。
コースはフラットで申し分なし(ゆえに公認コースではないはず)、気候も予想より涼しく、最後は暑くなったが気持ちよく走れた。
またいつか(来年?)走ってもいいな、と思いました。

皆さまにはご心配お掛けしましたが(心配してない?)、無事に完走することが出来ました。
応援有難うございました。