2016年3月 淡路島1周練習会 146km

淡路島1周練習会を振り返って。

昔から離島周回が好きで、今まで伊豆大島宮古島佐渡島のウルトラ出走経験あり。
今回、ネットで見つけた淡路島1周練習会にメールで問い合わせて参加させて頂いた。本当は身内の練習会で皆さんお知り合い同士で参加しており、ワタシのような飛び込みはいないらしいが「萩往還250kmに出る」とお伝えしたら参加快諾頂けました。

さて、当日朝8時のバスで三宮から淡路島の東浦バスターミナルに移動、そこから歩いてすぐの場所にあるペンションに集合して午前10時スタート。自分はちょっとゆっくりして5分後にスタート。

しかし、走り始めてすぐにトラブル発生、右足小指が靴に当たってかなり痛い。シューズとソックスが合わないようで、靴ひもを緩めてもダメ。仕方なく薄手のソックスに履き替えて急場を凌ぐも今度は足裏が擦れて惨いことに。
そのまま調子も上がらずに苦しい単独走が続く。調子が悪いときは決まって激しい肩凝りに悩まされる。口熊野フルが終わってからストレッチなどぱったり止めてしまったことを悔やむ。前に追い付きでもすればまた気分が違うのだろうけれど、さすが猛者たちの集まり、ほとんど誰にも追い付かない。むしろ差が開いているのかもしれない。

もういいや、と観光ランのつもりで走るも淡路島はホントに何にも無い(笑)。たまに魚を煮ている甘い香りがして食欲をそそるが、どうやらイカナゴくぎ煮のシーズンらしい。アナゴも焼いていたので買って食べた。猫にねだられたけれどあげなかった。
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「しかし調子上がらんわー!」とやる気が出ずに海沿いルートでどら焼き食べていたら11時スタートのランナーさん達にあっさり追い抜かれる。幸いなことに風はほとんどなく、凪いだ瀬戸内海の向こうに小豆島や四国らしきモノが見えて感動、こんな広い景色を見たのは久しぶりだなーと練習会も忘れてほっこりした。

足裏の水脹れが激しくなり、着地しただけでグジュっと痛いので、再度厚手ソックスに履き替えて靴ひもを更に緩める。小指が当たる部分はソックス内側の縫い目を食い破ってみた。足裏だけでなく調子自体が上がらないのも何とかしなくてはいけなくて、コンビニでホットコーヒーを飲んでみる。少し期待していたとおり、これで内燃機関(内臓)と足回り(足の筋肉)がやっとシンクロして動き始めた感覚が得られる。どうやらカフェイン不足だったらしい(笑)。結局今回はゴールするまでコーヒー5杯も飲んだ。胃腸のことを考えるとこれはかなり異例。

やっと体が動き始めたので前のグループを追って少しずつパスしていく。日没前後の空と海が本当に綺麗でしばし見入る。沈黙、言葉は要らない。

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午後6時半頃から真っ暗になってライト点灯。いよいよアブノーマルな時間帯が始まる。夜に走るのは2014年のペナン島ウルトラ以来かも。ちょっとだけワクワク。

淡路島最南端の街、福良を目指すが、その前に急勾配のウネウネ坂が待っていた。コースも地図も事前に全く頭に入れていなかったので「淡路島とは随分平坦なコースだ」と勘違いしていたことに気付く。何故か上りは足が動いてくれるのでサクサク上っていく。けれども道は真っ暗だし、コースを把握していないからコースアウトが心配だし、グーグルマップを見ながら慎重に進む。

これでもか!参ったか!というくらい長いアップダウンを越えてなんとか下界に到達。練習会が毎年契約しているスーパーが我々のために開いており、そこでしこたま食糧を買い込む。カップラーメンが無茶苦茶美味い!ここがほぼ中間地点で、ここから50km先の洲本までコンビニは1軒も無いらしい…
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冷たい風が吹く中、店外でみんなでしっかり栄養補給。一体感の生まれる時間。食べ終えた各グループが順々にゴール目指して再スタートしていく。気が付くとまたビリッケツになっており、ラストのグループに入れてもらって走り出す。大会の主催者の方としばし併走、アメリカ大陸横断レース(71日だったか?)など貴重な経験をお話頂いてとても嬉しかった。

海沿いルートで集団から離れて前に出るも、真っ暗で走りづらい。結局後ろから追い付いてきた別のグループと併走させて頂く。月が出てくると少し明るくなる。そのグループを引っ張っていた年配の方はとても歩きが速い。こちらの小走りでやっと同じくらいのスピード。トイレや着替えで立ち止まるとあっという間においていかれる。

右足小指がいよいよ悲惨なことになり、この痛みのままではとてもゴールまでは走れないと感じた。隣のランナーさんとそのような話をしていたら「手遅れかもしれないけれど」と言いながらご親切なことにワセリンを貸して下さった。
靴下を脱いでみると、右足小指のふやけた皮がベロンと剥がれて指の上でちょんまげみたいになっている。ウルトラセブンのようだと思った。足裏の擦れたところが変色してはつか大根みたいな鮮やかな色になっていた。左足もかなりひどいことになっている。とにかくワセリンを10本の指に塗りたくる。それで走ってみたら少し具合が良くなった。この方は鳥取市から来られた方でした。この鳥取さんがいなければ完走出来なかったと思います。感謝感謝です。

淡路島最大の街、洲本を目指してまたウネウネ坂を上っていく。途中でやけに明るい赤い光を発見。こんな山中になんだろう、建設現場かお祭りか、はたまた魔女達のサバトかと思いましたが、近づいてみたらLEDで照らされたビニールハウスでした。ホウレンソウでも促成栽培しているのか、いずれにせよかなり不気味でした。
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自分は坂を走って上れるので先行させてもらい、途中のちっちゃなエイドで一休み。ここで追い付いてきた皆さんとお別れ、何時間も一緒に走って頂き有難うございました。
コースアウトしないように暗闇の中、歩きスマフォでコース確認。と、まっすぐ歩いていたつもりが山の斜面のコンクリート壁に激突!スマフォ画面から顔を上げると一瞬目がついて行かず、本当の暗闇に放り出された錯覚に陥って危ない、ということを身をもって知りました。

時刻は午前2時過ぎ。真っ暗闇の山中下りを単独で走るのは気分の良いモノではなく、足裏の激痛に耐えながら急ぎ下界まで駆け下りる。ほっと一息ついて立ち止まると街灯の下で人が座っているように見える。実際は石碑とかなのよね、と近づいてみたらお墓だった…

いよいよ眠くなってきた。そりゃそうだ。もう16時間くらい横にもならず走り続けているのだから。ここでとうとう奥の手を出す。眠気覚ましにiPod nanoで音楽を聞きながら走る。ホントは歌いながら走りたいところだがご近所様から苦情がきてはまずいので大人しく走る。

下界に降りてから洲本までの道のりは長く、おまけに深夜の風がすさまじく、何度か歩きが入る。風に体力を削られ、体温が一気に下がるのが分かる。
やっとのことで洲本のコンビニに到達。ここまで来れば一安心。店内でカフェラテで温まる。が、外は寒くてすぐ冷える。店員さんに聞いたところ「これまでに20人くらい行きました」とのこと。みんな半端なく速い。

しかしここからがまた長い。街中を走り、朝になって増えた車をよけながら歩道の無い道を恐る恐る進み、風の冷たい海沿いを行き、やっとこさ130km地点に到着したのが明るくなって以降の午前6時。ゴールまであと16km、もう足裏ボロボロだしゴール予定は8時半。

意外に無理すれば走れるのでなるたけ走る。歩きを挟むとなんだか後ろが気になって振り向いてしまう。後続とは相当差をつけたはずだが、歩くと結構差が縮んでしまうのは知っているつもり。
残り14kmくらいで肉眼にて後続を確認。別に抜かれてもいーや、くらいに思ったが、やっぱりイヤ、ということで走りを余儀なくされる。結局ここからゴールまで走り通した。超ウルトラではあり得ないこと。腿も膝も足裏も悲鳴を上げていたけど、雑音は無視。ただ根性だけで走り続けた。
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放置されて廃墟化していることで有名な釜口の観音様は下から撮影するだけで通過、結局最後は後続が見えなくなるくらい引き離して午前7時59分にゴール、上出来。

足裏の激痛でゴールした途端に歩行さえ困難になる…
控室に行くと、とっくにゴールした猛者達がおしゃべりしたり、朝から宴会したり、くつろいでいました。ワタシは入浴して午前10時の関門締め切りを待たずに帰宅させて頂きました。

146kmに22時間もかけてしまい、GWの萩往還250km 制限時間48時間は大丈夫なのか、と今の力不足を痛感した練習会でした。

来年も参加させて頂くとすれば、もう少しうまく走れるように事前に練習しておきたいと思いました。

今回何よりも嬉しかったのは、ウルトラ界のレジェンドであるダブルさんとナミコシさんとお話出来たことです。お二方とも24時間走の日本代表を経験されたり、トランスヨーロッパ5000kmを完走されたりと、華々しい戦歴をお持ちです。特にダブルさんは、ワタシがウルトラを始めた10年前頃にそのHPを読ませて頂くのが本当に楽しみでした。レジェンドお二方にお会いできて感激の1.5日でした!