2011年2月 Standard Chartered Hong Kong Marathon 当日

さて香港マラソン当日、スタートは午前6時20分。
5時に起きるつもりが4時半に目が覚める。昨夜はなんだか寝つきが悪かった。とりあえず昨晩買っておいたパンとチョコを食べる。気象チェックのために外に出てみると雨はやんでおり、寒いけれど昨日ほどではない、良かった。すでに相当数のランナーが会場(Nathan Roadという目抜き通り)に到着しており、道路脇で着替えたりストレッチをしている。スタートまでまだ1時間以上もあるのにすごい人数だ。
荷物預けの場所を下見に行くと、小さなバンが1号車からずっと何台も並んでいる。昨日受付の際に渡された手荷物預け番号(車番号2桁-荷物番号3桁)を見て、書いてある車番号に手荷物を預ける仕組みになっている。なかなかシステマチック。
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いったんホテルに戻って準備開始、着替えてワセリン塗ってコンタクトを入れて絆創膏つけて、としているうちにスタート時間が迫ってくる。気温は10-15℃の間くらい、走ればあったかくなるだろう、と判断して思い切ってランシャツで出走することにした。というか、それしか持ってきていない。
自分の手荷物預け番号を見るとバンの番号はなんと37号車! 1号車があそこにあったからそこから37台目って、しこたま歩かされるんではないか?と焦って現場に行くと、先ほど1号車だった先頭車が35号車に入れ替わっていた??? 仕組みはよくわからないがとりあえず無事に手荷物を預け、またホテルに戻ってスタート直前まで部屋で待機、外にいたって冷えるだけだ。

スタートまで15分を切ったところで外へ、うー、さぶい! スタート地点に向かって前に進む。ゲートまで結構近付ける。シンガポールマラソンでは列の後ろにつくのにどんどん逆方向に歩かされてスタート時はゲートがまったく見えなかったけれど、香港マラソンのフル出走者は1万人もいないようで、あれほどの混雑はしていない。繁華街+ホテルも通り沿いにあるためか、シンガポールマラソンのように音楽をガンガン鳴らしてもいない。DJもスタート数分前くらいにやっと出て来てすぐにカウンドダウン、おそらく広東語?何を言っているかわからなかったが、華やかにマラソンスタート! 1分ちょっとくらいでスタートラインを切ることが出来た。
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香港マラソンの魅力の一つは高速道路がコースになっていること。普段走れない道を走れる、高いところからの景色を楽しめる、信号もない、というのは気持ちがよさそう。


スタートして北上、すぐに左に曲がって高速道路らしい道に入っていく。まわりのペースが結構速い。レベルが高いのか気温が低いせいか、とにかくシンガポールマラソンとは違う、と感じる。寒さ対策でビニール袋を被っている人が多いが、走り始めて数分、暑くなったのかそこら中に脱ぎ捨てられて、油断していると足にからまってくるのでよけて走る。と、少し雨が降ってきた。二の腕は人間にとってラジエーター(放熱器)にあたる部分、雨で濡れると体が冷えてくる。「ずっと降り続けたらきついな」と思いながら走る。ビニールを脱ぎ捨てた人は早計だったかもしれない。

5km通過:27:18。この混雑の中、30分を切っていれば上々。混雑している割に比較的ペースは速く、隣のランナーにぶつかるというほどでもない。と、いきなり対向からランナーの集団が走ってくる。早くスタートしたハーフのエリートランナーか。知り合いがいるのかところどころで「オー!」とびっくりするような大声を掛け合っている。気がつけば結構高いところまで登って(登らされて)おり、香港の高層ビルや港のコンテナヤードを眺めながら走る。すでに明るくなってはいるが、天気は曇りときどき雨のため空はグレー。高速道路の上り坂をひぃこら言いながら走る。横風が結構きつい。それと道路のつなぎめの金属部分に穴が空いており、つま先がはまってしまいそうで危ない。そこだけ特に気をつけて走る。
視界の先に大きな橋(Stone Cutters Bridge)が見えてくる、見た目は鶴見大橋、立派だけどあそこまで登るのか、ちょっとコースから外れて写真撮影。
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10km:ちょうど53分(5km:25:42)。上りもあったし悪くないペース。橋を渡り始める。渡り切ると青衣島、単調な高速道路コースをひた走る。カーブしているところが左右でも傾斜がある=バンクしているためランナーとしては走りづらい。周りのランナーを見ると「Hong Kong Long Run」とか「長〇(中国語の走るという意味の漢字)長生」といった意味がわかるようなロゴから、なぜか「宇宙」とだけ書いてあるランシャツなどいろいろあって面白い。中国本土から来たのだろう「広州〇〇〇」というTシャツを着た集団は大きな旗(オリンピックのメダリストがビクトリーランをするときに持つ国旗の大きさ)を交代で持って走っていた。よく見ると結構旗や幟を持って走っている人が多く、危なっかしくて近寄りたくない。と、いきなり裸足のランナーもいて驚く。

15km:1:17:39(5km:24:39)。ペースが少し上がった。雨は止んでおり寒くはない。エイドステーションは結構な頻度、5kmで2ヶ所くらいあるようなイメージ。メニューは、水、スポーツドリンク、スポンジだけ。大きなエイドにはバナナやスポーツバーがある、とガイドには書いてあったが最後まで気付かなかった。スポーツドリンクはヴィダーインゼリーのようなアルミパウチ容器に入っており、ふたが閉まっていると思って強く握ったら、親切にも開けてあり、中身がピュッと飛び出しておっとびっくり。スポンジは顔、首、二の腕、腿、ハムストリング、と濡らして冷やすのに使った。16kmくらいから折り返しとコースが重なり、ちょうどトップランナー達とすれ違う。ほとんどがアフリカ系で、頑張る中華系を見ると応援したくなる。

20km:1:42:18(5km:24:39)。おー、さっきの5kmとまったく同じタイムだ。今日の調子はそんなに良くはない。やはり体が重くてこれ以上スピードが出せない、これが限界。後半落ちてきたら苦しくなるな、と心配になる。中間点が近いのに意外にも結構な数のランナーに抜かれる。やはり皆さんのレベルが高いのか? ここで第一折り返し地点、今まで西向きだったコースが東向きになる。その後すぐに中間点を通過。

中間点:1:47:41、3時間半切りはきついか。ここまで抜きつ抜かれつ競り合ってきた茶髪ランナー君がペースを上げて先に行ってしまった。う~ん、ゴールまでには追いつきたい。折り返しコースで対向車線のランナーを観察、仮装ランナーは少ない、中華系ランナーが圧倒的で欧米人がたまにいるのはシンガポールマラソンと同じ。サメの着ぐるみランナーが何人かいる。フカヒレ食べるの反対、といったアピールだろうか。欧米人が着ているとさまになる、というか楽しんでいるように見えるのに、中華系の人がサメの着ぐるみを着てヨロヨロと厳しい表情で走っていると、むしろ気の毒に見える。あとはウサギの耳をつけて走っているランナーがいるくらい。来年アフロで走ったら目立ちそう。22kmを過ぎたところで鋭角に折り返して、今度は北上。往復3kmほど走ってまた元の場所に戻ってくる。

25km:2:06:09(5km:23:51)。また少しペースが上がった、折り返して橋を下っているせいだろう。キロ表示は1kmごとにある。そしてはっきり覚えているのだが、27km表示地点から突然スピードが上がるようになった。おー、なんだか知らんけど体が動き始めた、と思いながら少しずつ前のランナーを捉える。結局ここからゴールまで誰にも抜かれなかった。1kmずつのタイムを見ると、今まで5分弱だったのが4分50秒くらいまで上がってきた。第二エンジンに着火したかな?

30km:2:30:32(5km:24:23)、あと12kmを1時間弱で走れば3時間半を切れる、と意識しながら走る。高速道路の両脇には防音壁が立っており、もはや景色は楽しめないため、ひたすら前を走るランナーだけを見据えて走る。ここまで競り合ってきた欧米系のおじさんを引き離して前を追う。ライバルの茶髪のお兄さんが久しぶりに見えてきた。休まず一気に抜き去る。スタート地点の九龍の街中に近いところから戻ってきて、これからいよいよハイライトの海底トンネルに入る。九龍から香港島へ渡るのだが、海抜マイナス30mをマラソンで走るなんてなかなかない体験。
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35km:2:53:53(5km:23:20)、5kmのベストラップがここで出た!トンネルの入り口で立ち止まって写真撮影。そのままグーっとトンネル内を下っていく。しかし! 最低点に到達してから今度は一気に40mくらい上らされる、きついじゃないですか...途端にスピードダウンしてヨロヨロとトンネルを抜けるが、なんとそのまま上りが続く。バイパスの上まで上ってやっとフラットなコースで一息つく。ふと前に日本人ランナーがいるので声をかけてパスする。ここまで来て一般の応援が増えてきた。高速道路を走っている間は、当然ながら一般応援はまったくなく、ボランティアのお兄さん、お姉さんが明るく「ジャーヨー(加油=頑張れ)!」と叫んでくれていた。陸橋から応援してくれる一般の皆さんに頑張って手をふってみる。あー、もうあとちょっとだ。

40km:3:18:15(5km:24:23)、なんとか3時間半を切れそうだ。あと2km、スパートする。と、まだ小さな坂が2つほど、いやー、最後まできついコースだ。ゴール直前のCauseway付近は応援客であふれ返っている。道路の両脇に鉄柵が立ててあり、そこにたくさんの人が群がっている。走っていて気持ちがいい。そして昨日受付したVictoria Parkが見えてきた。ゴール前の直線には美しく黄緑色のマットがひいてある。思わず立ち止まって写真を撮ろうかと思ったが、3時間半を切れないとまずいのでそのままひた走る。ワタシの前にゴールしたランナーは直前で両手を握り締め、空に向かってウォーっと吠えていた。初の3時間半切りなのかもしれない、おめでとう!そして自分もゴールへ。
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ゴール:3:28:35、後半:1:40:54で走った。結構なネガティブ・スプリット、コース設定に因るところが大きいのだろうが、後半よく頑張れた。前半は苦しくてどうもならん、と思ったけれど、我慢したおかげか後半スピードアップ出来た。

ゴールしてメダル、水、手提げ袋(パンフとお土産)、バナナをもらう。体が冷える前に手荷物を受け取り、上だけを着替える。しばらくボーっとしてからホテルに戻るため地下鉄の駅まで歩き始める。チップの回収は所定の箱に返すのだが、目印に風船がついていて面白いと思った。
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ホテルに戻ったのが午前11時前。チェックアウトの正午まで1時間近く横になって、そのあと市内をちょっとブラブラして早めに空港へ。結局KL自宅に戻ったのは午後11時過ぎ。長い2日間だった。今度は明日からのインド1週間出張の準備をしなくては...

走りながらずっと12月に出たシンガポールマラソンとこの香港マラソンを比較していた。
香港の特徴は以下。
・涼しくていい。走り易い。
・人数も1万人規模で大きすぎなくてよい。スタートがスムーズでよかった。
・市民マラソンにしてはコースが結構タフ。単調だが高速道路を走れるのは面白い。
・運営はスムーズ。
・一般応援は最後しかないが、ボランティアの応援は温かかった。
・エイドは飲み物種類は少ないが、エイド数は多くてよかった。
・参加者のレベルもシンガポールマラソンより高かったと思う。シンガポールマラソンは後半歩いている人が大多数だったが、香港マラソンは歩いている人をほとんど見掛けなかった。

来年も出てもいいな、と思いました。自己ベストを狙うコースではないけど、涼しくて走り易い。次来るときはしっかり下調べしてもっとあったかい格好で来ないといけません。親切な人達に出会えて良かった。風邪ひかなくてホント良かった。