2015年9月 しわいマラソン 88km

楽しみにしていた「しわいマラソン」走ってきました。

山深いアップダウンの厳しいコース、手作り感満載で温かい地元の応援、ローカルなウルトラマラソンの見本のような大会でした。運営については満点には至らない点はあるもご愛嬌レベル。町全体がこのイベントをとても楽しんでいる雰囲気がランナーの我々にもひしひしと伝わってくる大会でした。

前日午後に大阪から新幹線で広島駅へ、そこからツアーバス広島県安芸太田町の会場へ移動。宿までの足がないため(仕方なく)前夜祭に参加して終了後(午後7時過ぎ)に出る送迎バスを待つ。地元出身の歌手のミニコンサートもあって、前夜祭はなんと2時間立ちっぱなしを強いられる。こんなに長時間立ちっ放しでは翌日のレースに影響出るなぁ、と途中で何度か退席して休憩。車で来る地元ランナーが多いためニーズは少ないのかもしれませんが、前夜祭に出なくても宿に直行出来るよう交通の便をよくする配慮が欲しいところ。

さてレース当日。山奥のスキー場周辺が会場だけあって朝はかなり寒い。スタート会場には狭い控室しかなく、ワタシはたまたま早く現地到着したのでスペース確保出来ましたが屋外で長時間待たされたランナーも多かったようで、こちらも改善してもらいたいところです。

スタート時間は88kmも100kmも同じ午前5時半。100kmに参加するには88kmを10時間以内に完走している必要があり、私は初参加のため88kmに出走。目標は最低サブ10、いけたら6分/kmペースを維持して8時間48分以内の完走。そのためには5分半/kmで走って登り坂も歩かずにいきたい。

とにかく外が寒いので直前まで控室にこもり、10分ほど前に荷物を預けてトイレ待ちして靴ひもを結んでいる間にスタートの号砲が鳴ってしまった。結局2分以上遅れてスタートラインを切った。
先月の立山マラニックはあいにくの雨でしたが、今回の天気は快晴で晴れ男の面目躍如。気温も上がる予報だけれどもスタート時は寒かったため軍手をはめて走る。上はキャップとタンクトップにアームウォーマー、下はランパン。装備はデジカメと補給食としてスポーツ羊羹×2本。

走り出して日が昇りすぐに暑くなってきた。わかってはいたけれど軍手が邪魔になり、予定どおりエイドで捨てる。アームウォーマーは腕から外してウエストポーチに結び付ける。しかし、しばらくすると川沿いの狭い林道となり一転気温が下がってまた腕に付け直す。おまけにウエストポーチの座りが悪く腰のまわりをクルクル回る。更に早くも左肩が凝ってきて(走ると何故か凝る持病)、どうにもこうにも落ち着かない。

山深い坂道を登らされるが、この坂道が長い!このまま走り続けると足を使ってしまうおそれがあるため、早くも戦略的歩きを入れざるを得ない。でも長くは歩かないよう心掛ける。いつもよりも速いペースのためレベルの高いランナーに囲まれているのか、結構追い抜かれる。あとで抜き返すために後姿の特徴を覚えておく。でも人数が多くて覚え切れないかも。

エイドステーションの数は多かった、88kmで20ヶ所。水&スポドリのみの小エイドから食べ物豊富な大エイドまでバランスよく配置されていました。でも思ったほど特別メニューはなかった印象。というか、もはやワタシがいろいろなウルトラに出走して、ちょっとやそっとじゃ驚かなくなっているのかもしれない、ぜいたく病かな(苦笑)。

はじめはエイドごとに写真を撮っていたけれど、そのたびに立ち止まってカメラを取り出すのが段々億劫になってくる。走りながら撮影しようとして思いっ切りカメラを落としてしまった。幸い故障しなかったが、しばらくカメラはしまっておくことにする。タイムを気にするのであればエイドで長居をしなければよいのだが、エイドでお喋りするのもウルトラの楽しみの一つなのでこれはやめられません。

上りとエイドの長居&写真撮影で遅れた分を下りで飛ばして取り返す。気が付くと5分/kmを切るペースでかっ飛ばしており、少しペースを落とす。長丁場のレースでは前半で気持ち良く飛ばすと後半で必ずつけが回ってくる=バテるため自重も必要。

50km地点で市街地に出て、そこから10kmほどはフラットなコース。ここで5分半/kmを維持してタイムを稼ぐ。夏の練習の成果か、このスピードで長い時間走り続けることが出来る!このあたりから先行ランナーをどんどんかわしていく。もう前半競っていたランナー達はいない。いや、一人だけずっと前の方に全身スパイダーマンの仮装ランナーがいる。この人がまた速くて、スタート直後から抜きつ抜かれつを繰り返していたけれどここにきて少しずつ引き離される。いったん並走した際に「暑くないですか?」と聞いたところ、「クソ暑いですよ!ドンキホーテ仕様で発汗ゼロです!」とおっしゃっていました。そのスパイダーマンに折り返しコースの龍頭峡エイドでやっとこさ追い付いた。さすがにかなりバテているようでここで先行させてもらう。この大会は結構日陰が豊富なれど、この折り返しは日陰がまったくなくてきつかった。

しかし、とにかく応援の多い大会で、出走ランナーの名簿が事前に町内に配布されているようで、しかも振り仮名がふってあるためワタシのように読みづらい苗字も間違えずに呼んでもらえる。遠くから双眼鏡でゼッケン番号を確認する人、トランシーバーで後ろにいる応援団に事前連絡する人がいて、「○○さん、頑張って!」「○○さーん、大阪から遠路ご苦労様!」とこんなに本名で応援してもらえた大会は初めてで嬉しかった。でもお年寄りには小さい文字は読みづらかったらしく、名前を呼ばれる前にその前を通過してしまい、後ろから応援されることもしばしばあった(苦笑)。そのたびに振り向かずに「ハーイ!」と手を挙げて応えました。

1本目のスポーツ羊羹は30km地点で食べ、2本目は55km地点で食べようと思っていたが、気付いた時には60kmを通過していた。ショッツやアミノバイタルなどエナジージェルを装備したことはないけれど、そっちの方が効果があるのだろうか。羊羹のお陰かどうかはいざ知らず、後半もペースを落とすことなく平地は5分半/km、下りはかっ飛ばし走法解禁でいく。

さて、ひとつ困ったことが。
前半ですでに自分のGPSとコース距離表示に2kmほどの差が発生、自分のGPSよりも距離表示の方が進んでいることに気付く。それが残り10kmを切って差が4kmまで広がっている…どちらが正しいのか。

ラスト5km、コースの距離表示に従えば8時間48分切りはいけるが、GPSに従うと88km未満でゴールしてしまう計算。とりあえず距離表示を信じてラストスパート。この大会のメインイベント、温井ダム黒部ダムに続く日本第二位のアーチ型ダムらしい)を目指す緩い登りで6分/kmまでペースが落ちてきたのをもう一度押し上げる。そして温井ダムの恐怖の階段に到達、下から上までの直登481段がコースになっている。ダムの迫力のスケールと階段の高さに圧倒される。うわー、すごいデカい、そして高い! 「このダムの放流見てみたいなぁ」と言ったら係の人が「残念、さっき終わっちゃいました」って、それウソでしょ!

階段を速足で登り切って87km地点、あと1kmのゆるやかな登り坂をクリアして栄光のゴールへ。
ゴールタイムはグロスで8時間35分33秒。総合で25位、年代別で8位と好成績。次回以降の100km出走権利を無事ゲットしました。

ちなみに手元のGPSは、距離:83.7kmでネットタイム:8時間33分05秒。
これだと平均ペースは6:07/kmで目標未達。
このあと2人のランナーさんにGPS測定距離を聞いてみたところ、1人は同じく84km、もう1人は86kmだった。88kmの距離とタイムは参考記録ということにしておきます。

ゴール後は準備してあった氷水のプールでしっかりアイシングした後、荷物を受け取って温泉へ。あとは大会が手配してくれた車でバス停まで移動して、広島駅経由で帰阪の途へ。

完走後の感想は、幾つものウルトラマラソンに参加したことのある身としては、とりたてて目新しい経験はなかったけれども、町全体がこのイベントをとても楽しんでおり、それがひしひしと伝わってきてこちらも楽しい気持ちになれました。そして最後に控えていた温井ダムのスケール、481段の階段、これは一度は経験する価値ありです!

いつか100kmにもチャレンジしようかな、と思わせてくれる楽しい大会と気持ちの良い地元の皆さんに出会えたナイスな一日となりました。