2017年3月 淡路島一周マラニック 146km

昨年に続けて走った「淡路島一周マラニック」の完走記です。

あまり長々と書くつもりもなかったのですが、地図や写真を見ながら記憶を呼び戻していると、距離と時間に比例して結局冗長なレポートになってしまった。

ま、長い備忘録ですので、お時間のある方、ないしは淡路島を愛する方のみ最後までどうぞ(笑)。

一週間の中国出張から帰国した翌日3/18(土)朝は超眠くてなかなか起き上がれず。「もう行かないで寝てたら?」という家族の声に後押しされてやっと布団から這いずり出た。

三ノ宮からバスでスタート地点の淡路島 東浦バスターミナル付近のお宿「さつき」に到着したのが午前11時。連休中ということもあり、途中のバス停で満席となり乗れないお客さんが複数いた。会場であるお宿の「さつき」で受付、ゼッケンと地図を頂いてスタート時間の正午までにちゃっちゃと準備する。昼食として三ノ宮駅のセブンで購入したオニギリと菓子パンを食べる、200円也。

宿の前に集まってコース説明を聞いた後、主催者のお一人であるWさん(ウルトラマラソン界のレジェンド的存在)の掛け声でスタート、長い24時間が始まった。昨年は準備が遅れて5分後に出発した結果、スタートから何時間かずっと一人で孤独に走ったが、今年は最初から団体についていく。後で調べたところ今年の参加は63名で、うち4名が2時間遅れの14時スタートとのこと。走り始めてすぐに明石大橋の下を通過。f:id:kaimizu:20170318125909j:image:left
このマラニックは反時計周りに淡路島の外周を走り、距離は約146km、制限時間は24時間、参加費は3,000円で、基本は諸事自己負担&自己責任。ちなみに昨年初めて走ったときは右足小指が見事につぶれて22時間を要した。その反省で今年は各足指に馬油を塗って、五本指ソックスを履いて、シューズの紐をかなーり緩めて、両足小指にテーピングをした。その甲斐あってか最後まで両足小指は生きていた。が、テーピングを怠った左親指がやられた。やはり手抜きをしてはいけないということ。

スタートして2時間、周りのランナーが立ち寄るので自分もファミマにピットイン。オニギリ、どら焼き、ホットコーヒー、締めて358円。スタート時には食糧を持っていなかったのでどら焼きは非常用携帯食とした(結局ゴールまで手つかずで輸送した)。

よく見るとコンビニのレシートは情報量が豊富。お店の住所、購入時間、何を買った(=飲食した)かが明確に分かる。今回はずっと面倒臭がらずに買い物時のレシートを取っておいた。ジャリ銭は重いし音が鳴るので買い物はすべてナナコかイコカで済ました。

このファミマを出てからは単独走、足指に違和感を感じてワックスを塗りたくった以外はひたすら島の西海岸沿い、サンセットロードを黙々と走り続けた。昨年はここら辺ですでにバテてどら焼きかじりながら対岸の小豆島を眺めたなぁ、と一瞬思い出すも足は止めず。結構な頻度ですれ違う自転車ライダーから声援を頂く。そう言えばライダーは皆さん時計周り、おそらく海側を走る方が景色が綺麗だからでしょう。

30キロ過ぎたあたりで「確か昨年もこっちに行ったな」とショートカットっぽい細い道を行くとまた車道と交わる。後ろから来たランナーさんとの会話で、ショートカットしたせいで貴重なコンビニを一カ所パスしてしまったことが判明。「ま、仕方ないか」と切り替えるもなんだか寒気がしてきたので立ち止まってウインドブレーカーを羽織る。本日の格好は、昨年とほぼ変わらず、長袖シャツにユニクロハーフパンツ。キャップは黄色の蛍光色、これは夜間に自動車の運転手に見つけてもらうため。昨年と違うのはタイツを履いておらず、膝下がむき出しな点。幸いにも今日は暖かくなる天気予報だったし、太ってしまってきつくなったタイツは自宅に置いてきた。

このマラニック、基本コースは決められているが事務局からは「とにかく海沿い行って下さい」と言われており、そのため車道が陸側に食い込んでいる場所にはたいてい海沿いを行く細い道があってそちらを走ることになる。と、どうやら道を間違えたらしく小さな港で方向がわからなくなる。幸い地元の人に教えて頂いてなんとかコースに復帰出来たが、夜だったら暗いし人は居ないし、かなりまずかったかも。道端に座っていた見た目おじいさんにも見えるおばあさん(たまにこういう方いますよね)に話しかけられた。「何処までいくの?」「東浦から淡路島一周してます」と答えたら、「ひぇっ!」と素っ頓狂な声で驚かれた、というかこっちがびっくりしたわ。

あー、なんだか今日は不調だ、と思いながら名勝である五色浜、慶野松原を抜けてやっとローソンに到着。時刻は午後6時、50km強を6時間の良いペース。4人ほどランナーが駐車場で休憩しており、自分も食糧調達して会話の仲間に入れて頂く。お買い上げは、サンドイッチ、ポカリ、アーモンド(携帯食)、レッドブル(眠気覚まし)。他のランナーが食べているのを見てカップヌードルも買い足して締めて1,054円也。

お腹が満ちたら復活した。ここは昨年もコーヒーを飲んで復活した縁起の良いエイド、じゃなくてコンビニ。暗くなってきたので前後の点滅灯を点けて、ハンドライトを持つ。今回ヘッドライトは置いてきた(正確に言うと、預けた荷物に入れっ放しだったのに自分ではずっと持参して走っていると思い込んでいた)。

ウェストポーチ一つの身軽な女性ランナーとしばらく併走。明かりが少なくて空気が澄んでいるせいか、星がものすごく綺麗だ。オリオン座がよく見える。そのうち「先に行って下さい」と言われてまた単独行になるも分岐点で立ち止り、ここで本日初めてスマフォで自分の位置を確認。どう見ても右折するのが正しいコースなのだが、街灯の無い真っ暗闇だけが広がっている。自分のライトを消すと本当に漆黒の空間...

f:id:kaimizu:20170318200808j:plain

後ろを見ても先ほどの女性が来る気配はない。しょうがないか、と頭を空っぽにして暗闇の坂を登り始める。昨年走ったお陰でなんとなくコースを覚えている、ような気がする。山を越えた分岐点では、まっすぐ行くと「道の駅うずしお」までの往復3.4キロのオプションコースで四国が目の前に見える展望台に出るらしいが、真っ暗だし3.4キロも余計に走る気にもならずパスして鋭角に左折した。


この後はどこかで右折して港に下りるはず...と思ってまたまた分岐点で立ち止まり、今度は受付時にもらった地図を取り出して眺めるも、暗いしそもそも字が小さいし、まったく読めない(結局最後まで地図は読まず)。たぶんここ、という勘が当たって港に出て20キロぶりのコンビニに到着。空腹感は無いもののここから洲本までの約40キロ間にコンビニなし、と言われているためオニギリとミニッツメイトを買い足し、コーラと饅頭を食べる。お支払いは512円也。このローソンがちょうど75キロ地点でほぼほぼ中間点。車で先回りしていたWさんに教えてもらったところ、自分はなんと3番手を走っているらしい。マラニックだから順位は別に関係ないとしても、出来ることならこれから待ち受ける暗い登りの難所を一人で走るのは避けたかった。Wさんに言われて先にピットインしていた2番手の方としばらく一緒に走ることにした。走りながらその女性に「長崎橘湾スーパーマラニック」の魅力について教えて頂く。ちょうど2018年のGW大会に参加するつもりだったので情報がもらえて良かった。

途中からまたまた単独行となり、第二の難所を登っていく。真っ暗闇の中、道路脇の無人ビニールハウス内が赤いLEDライトで照らされている。おそらく生育促進のためか、それとも動物よけか「去年もあったなぁ」と思いながらも不気味なので視界から外して走る。と、坂を登り切った辺りで路上に動くものを視認。初めはかなり大きな野良犬か、と思ったがよく見ると2頭の鹿だった。近付くと向こうから逃げて行った。うーん、野生の王国。

90キロ地点の灘港付近私設エイドに到着。時間は23時半だから11時間半でここまで来たことになる。勿論疲労や筋肉痛はあるけれど、幸いにもまだバテてはいない。チーズと生ハムとキュウリの乗ったリッツ、オレンジ、たくわんをしっかり頂く。大盛りのうどんも大変美味しかったが、過去の経験から言って調子に乗って食べ過ぎるとお腹にくるので食べ残した(ごめんなさい)。
f:id:kaimizu:20170318233249j:plain f:id:kaimizu:20170318233300j:plain
居心地の良いエイドを出るのはかなり名残り惜しいものの、とにかくまだ走れるうちに走ろう、と気合いを入れ直して出発。すぐに先行ランナーさんに追い付いてしばし併走。やっと海上に昇った月が得も言われぬほどに美しい、都会ではまず見られない光景。「寝待月」というのか半月よりは満月に近い大きさ。オレンジ色に輝く月光が海上をこちらに向かってまっすぐ伸びており「月の道が出来てますね」と併走ランナーさんが粋なことをおっしゃる。

そのうち先行させてもらうことになり、とうとう一番前になってしまった。この辺りが100キロ地点だったかな、と昨年のことを思い出しながら走っていると、ふいに道路の継ぎ目にけつまずいて派手に転倒。しかしながらうまく受け身をとって半回転出来たので右前腕部を打撲しただけで済んだ。どこにも擦り傷なし、胸ポケットのスマフォも無傷。もしも回転せずにスライディングしていたら衣服は破れてきっと出血もしただろうし、スマフォは割れただろう。不幸中の幸いだった、ボーっとしていて危なかった。月を見ていただけにツキがあった。

10キロ以上も続く長い海岸沿いから最後の難関の登り口に到着、発電機を使っており夜間工事の現場かと思いきや2つ目の私設エイドだった。やはり空腹感は無いので温かい紅茶とアメだけを頂いて出発。ちょうど2人のランナーが入れ違いでエイドに入ってきた。ここからの登りはきつくてさすがに歩きが入る。と、あっという間に後ろから一人に追い抜かれる。うーん、と数秒間だけ熟考のうえ付いていくことにした。どうせなら引っ張ってもらってこの難関を乗り切ってしまいたい。頑張って急なうねうね坂を走り、長い下りも併走させてもらって海岸沿いまで無事に降りて来る。一人だったら気が滅入っていたかもしれなかっただけに、この時間のこの区間に同行者がいたのはラッキーだった。

午前3時過ぎ、117キロ地点に約40キロぶりのコンビニ発見して当然のごとくピットイン。カフェラテとメガシャキを購入、450円也。店内のイートインで2つとも飲み干す。目覚ましのつもりで飲んだが胃の中で変な化学反応が起きないことを祈る。坂道で併走させてもらったランナーさんは2時間遅れの14時スタートの方だった、すごいペースだ!(あとで聞いたところこの方も桜道250キロ大会の上位に入る有名なランナーさんらしい)

温かいコンビニから出るとさすがに夜明け前の風が肌身に凍みる。ここまで自分にしては薄着で走り通してきたけれど、とうとう上も下もザックから取り出してフル装備に変身。その間に14時スタートランナーさんに置いていかれる。洲本市内では少し道に迷いかけるもスマフォで自分の位置を確認しながらなんとか正規ルートを進む。大きな橋を渡ると真後ろの山上に洲本城がライトアップされているのが見えた。突き当たってT字路っぽい分岐点を右折、ここからの海沿いルートはしばらく路肩が無いため、飛ばしてくる対向車に要注意。というか早めにこちらの存在に気付いてもらわないとカーブを膨らんで曲がってくる車とすれ違うのが本当に怖い。運転手だってまさか海沿いのこんな道をこんな時間に誰かが歩いたり走ったりしているなんて夢にも思わないだろうし。

ドリンクが底を尽いて125キロ地点のローソンで麦茶を購入、100円。時間は午前4時22分。もはや食欲なく、自分が甘いものなのかしょっぱいものなのか、どちらを食べたいのかも分からない、目の前に並ぶ様々な食べ物を見ても食指が動かない。結局ときどきアーモンドだけをポリポリとかじりながら走り続ける。やはりさっきの山の上り下りで足を使ってしまったせいか、ここにきてペースが落ちてきた。太ももが固まって痛い、左足の親指も痛い。風呂入りたい。ならば走るしかない。

街中に入って、去年この辺りで午前6時に日の出を迎えて写真を撮ったな、と思い出していたら正面から来るトラックの動きがどうにもおかしい。明らかに蛇行しており、こちらから見て右、トラックから見て左にある低い岸壁にぶつかりそうになり、直前に急ハンドルで回避。こちらが足元の穴に一瞬気を取られた時にはそのトラックが目前まで迫っており、思わず「うわっ」と叫んだ瞬間、また急ハンドルで回避。危うく岸壁とトラックにサンドイッチにされるか、ミラーに引っ掛けられるところだった。肝が冷えた...あれは絶対に飲酒運転だったと思う。

あとはひたすら歩きそうになる自分を鼓舞し、スローペースでも歩かないことだけを心掛けてゴールまで走った。最後に初めて自販機でスポドリを購入、120円也。

f:id:kaimizu:20170319061431j:plain

ゴール到着は午前6時54分。

昨日の14時スタートのランナーさんから遅れること約30分、2番目でゴールしたけれど、今回は実力のあるランナーさん達は他の方の付き添いやファンランでのんびり走っていたようで、順位は関係なし。何よりも146キロを約19時間で走れたタイムが上出来で、昨年よりも3時間も短縮出来た。ほとんど歩かなかったことも嬉しかった。1週間前の鳥取マラソンの不調はなんだったのだろうか?

お宿の風呂に入って少しお喋りして早々に帰宅。後で調べたところ63人がスタートして24時間以内にゴールしたのは37人、時間内完走率は59%でした。

今回に関して言えば「なんでこんなことやってるんだろう」など余計なことを考えずに頭を空っぽにして走り続けたことが良かったらしい。エイドやコンビニで食べ過ぎずに自重したのも功を奏した。なによりも天気に恵まれ、暑くもなく寒くもなくほとんど風もなく、走りながら本当に何度も「今日は本当に走り易い」と口にしたほどだった。

果たして、来るべき5月の萩往還250キロの良い練習となったのでしょうか。昨年の萩往還のリベンジとなるのでしょうか。それは本番までのお楽しみ。

ただ一つ言えるのは、マラソンはフルよりもウルトラの方が長丁場な分、レース中の自己管理がその日の結果を左右しやすいということ。要は「冷静な判断力と熱い根性次第」。

そういえば、今回コンビニ(含む自販機)で買い食いした回数は7回、合計出費額は2,794円でした。

今回はマラニックなので採点はなし。

でもオーバーナイトラン目的ならとってもお勧めのイベントです!